いずれも、海外に支店を出さずともできる業務である。
実際、これまでに海外拠点を廃止した銀行が外貨預金の取扱いを止めたかというと、そんな銀行は無い。外為業務の自由化に伴い、かえって外貨預金の扱いは増えているようだ。国際業務は相変わらず続けられている。
新聞などの記事の書きっぷりを見る限り、記者たちは国際業務を海外における業務だと勘違いしているようだ。そういう捉え方を前提とすれば、彼らの書いている内容はあながち間違いではない。海外企業に対する融資は利益率が非常に悪く、資産効率・資本効率といった観点からすれば銀行の足を引っ張る業務だ。しかしその業務を、海外に支店が無ければやっていないのだろうと誤認せしめるような記事の書き方は、やはりいけない。
それでは、国際業務をやっているのであれば、自己資本比率は国内基準の4%以上ではなく、国際統一基準の8%以上が適用されるのではないかと疑問をお持ちになる方がいらっしゃるかもしれない。ここが自己資本比率規制のマジックである。
国際決済銀行(BIS)の定める国際統一基準により計算して、自己資本比率を8%以上に維持しなくてはならない銀行というのは、国際業務を行っている銀行ということではなく、自国以外の国で銀行業・証券業を行う支店ないし現地法人を保有する銀行なのである。それ以外の銀行には、BISの定めた基準が適用されず、それぞれの母国における自己資本比率規制に従っていれば良い。つまり、海外支店・現地法人を閉鎖しても、その業務はほとんど日本国内から行える。
証券アナリストなどが注目しなければならないのは、その銀行が海外から店を引き上げたということではなく、そのことに伴って海外融資先への融資量を減らし、資産効率を引き上げるシナリオが組まれているか?という点。また、その引き上げた店がこれまで収益にどのくら寄与していたのか、もしくはどのくらい損失の拡大に貢献していたのか?という点。そして自己資本比率の最低ラインが8%から4%に引き下げられることにより、その銀行が何パーセントくらいの自己資本比率を想定して営業を展開するシナリオを持っているかという点ではないだろうか。